
日之影発、地域おこし協力隊の縁をつむぐお仕事。
首都圏などから、過疎地域などに移住し「地域活性化」を目的とする地域おこし協力隊。
2009年度から始まったこの制度は、令和5年度には全国で7200人にものぼります。
地域おこし協力隊は最大3年間の有期雇用のため、任期終了後のキャリアが決まらず後ろ髪を引かれる想いで首都圏に戻る、といったケースも珍しくありません。
いま、全国初となる地域おこし協力隊の任期終了後のキャリア支援で、地方を盛り上げようとする人たちがいます。
中心人物のひとりが株式会社ことろどの重信さん。日之影オフィスの責任者として、地域おこし協力隊に特化した人材紹介サービスを展開しています。
重信さんは、日之影町の元地域おこし協力隊として「中央地区活性化対策業務」を3年間務めた経験者です。
「地域おこし協力隊の任期終了のタイミングというのは、その方の人生の大きな岐路となります。起業をする方もいれば、就職される方もいる。だけど、キャリアが定まらず都市部に戻る人も少なくありません。地域おこし協力隊は首都圏から来る方も多く、都市部の知見を持っているという視点では、それだけで地方に必要な人材なんです」
今回全国初となる、「地域おこし協力隊のキャリア支援を行う地域おこし協力隊」を募集します。
着任先は、宮崎県日之影町にある株式会社ことろど日之影サテライトオフィス。全国に先駆けて、「地域おこし協力隊に特化した人材紹介サービス」を展開しています。
熊本空港から車で約1時間30分ほどで日之影町に到着。宮崎県の最北部に位置しているので、宮崎空港より近い。
道の駅付近にかかる橋からまわりを見渡すと、深い渓谷に囲まれている。下を見ると、足がすくむほどの高さがある。
その下には「集落」があるように見える。
株式会社ことろど日之影オフィスの重信さんと、オフィスへ向かう。
「いま、橋から集落が見えたでしょ?あれ、日之影町の中心部ですよ」と重信さんがドヤ顔で教えてくれた。
「もともとは、下に見える集落に国道が通っていたんですよ。いま、この橋が国道になっているので、下の集落はいわゆる下道になってしまったんです」
「4月から5月にかけては、日之影川に250匹の鯉のぼりの掲揚もあるんですよ」
県内屈指の鯉のぼりの名所として観光客も訪れるようになり、若い世代や家族連れの観光客も増えている。そんな状況を追い風に、関係人口を増やしていきたいところ。
宮崎県の最北部に位置する日之影町は、人口3100人程度のまち。面積の9割は森林に覆われていて、「森林セラピー基地」にも認定されている。
ほかの自治体と同じく、高齢化が進んでおり、まちを盛り上げるために、地域おこし協力隊の制度を活用し、外から新しい視点でまちを捉え、地域の活動に取り組むメンバーを募集することとなった。
「地域おこし協力隊は最大で3年間の有期雇用なので、任期終了後のキャリアが明確に定まっていない人は、都市部に戻ってしまうという傾向があるんです。せっかく地方に来てもらったのに、もったいないですよね」
地域に残るか残らないかは本人の自由ではあるものの、地域おこし協力隊で経験したキャリアを生かす仕事が見つからないという理由で都市部に戻ってしまう人も少なくないという。
「地域に残ってもらうには、任期終了後のキャリアの相談に乗ることも大事ですし、地域おこし協力隊の要項設計の段階で任期終了後どうするかを明確にする必要性もあります。任期終了後のキャリアに悩んでいる方は全国でも多い状況かと思います。そんな全国の隊員のキャリア支援で寄り添って欲しい、これが今回の協力隊にお願いしたいことです」
すでに、全国の地域おこし協力隊200名以上が登録しており、地域おこし協力隊のキャリア支援といったらここ、というポジションを目指している。
新しく入る協力隊も、任期終了後はそのままことろどに就職して、一緒に運営を担って活動してほしいとのこと。
日之影町の中心部にあることろどオフィスへと向かう。
木の温もりを感じる「日之影町コミュニティセンター」。
敷地内には、遊具や芝生広場なども整備されている。
コミュニティセンターの1階には、観光案内所とコミュニティバスの待合室。パンやカップ麺などの食品の自動販売機もある。せっかくなので食べてみる。
美味しい。
2階に上がってみると、右手には「竹細工資料館」。日之影町の生活文化にもなっている竹細工を芸術的価値にまで高めた故 廣島一夫さんをはじめとする作品が展示されている。
左手に見えるのは、「地域交流スペース」。窓から見る五ヶ瀬川は癒しの絶景。ここでは、地域住民や外部の人など、誰もが自由に使えるフリースペースの役割を担っている。
室内はほんのりと木の香りが漂い、フリーWi-Fiも完備している。
そんな日之影町コミュニティセンターの建設プロジェクトのマネージャーを務めたのも、重信さん。
「地域おこし協力隊を任期満了で終えた後、ありがたいことに地域プロジェクトマネージャーという総務省の新しく新設された制度を活用し、役場跡地利活用プロジェクトに参画させて頂きました。設計から施工まで、様々な業者さんと打ち合わせを行い、2025年1月に完成を迎えました」
「企業誘致用のテナントも確保しており、企業誘致の営業を1900社以上行いました。株式会社ことろどさんが手を挙げてくださり、私の職場の確保までしてくれて。非常に恩を感じています」
重信さんは、コミュニティセンターが完成した2025年1月に地域プロジェクトマネージャーを退任し、株式会社ことろどへ入社。
「日之影オフィスでは、地域おこし協力隊に特化した人材紹介サービスを展開しております。私も協力隊を経験した後、希望する就職先がなかったし、起業もしていましたが、それだけで生計を立てていくことは難しい状況にあり、日之影に残るか非常に悩みました。私が経験した任期終了後のキャリアの悩みというのは、全国の地域おこし協力隊も感じていることだと思っています」
「既に数十人の地域おこし協力隊の面談も実施していて、実際のマッチング作業に向けて活動しているところです」
2025年5月にはコミュニティセンターにて「日之影日之影川鯉のぼり唐揚げフェス2025」も実施。
株式会社ことろどは日之影町と地域活性化に係る協定を結んでいる。
近くを流れる日之影川には毎年およそ250匹の鯉のぼりが掲揚される。鯉のぼりを見て終わりだった観光客を、もっと日之影を楽しんで帰って欲しいと重信さんが企画。
「日之影町には、こんにゃく唐揚げ、豚足唐揚げ、ゆずチキなど一風変わった唐揚げが特産品となっています。鯉のぼりと異色の唐揚げ祭り、面白いかなって。来た人たちが美味しかったね、楽しかったねと満足してもらえたりすると、やってよかったなと感じますね」
コミュニティセンターの「オフィス棟」へ移動し、詳しい話を重信さんに聞く。
まだ重信さん一人ということもあり、「ザ・スタートアップ」の雰囲気を感じるオフィス。普段は重信さんが常駐し仕事を行っている。
重信さんはオンラインをメインに、全国の地域おこし協力隊との面談を行っている。
新しく入る協力隊員は、重信さんと一緒に活動し仕事を進めていくことになる。
「地域おこし協力隊のキャリア支援もそうなんですけど、ことろどオフィスは中央地区に構えているので、中央地区の活性化にも寄与したいと考えています。斬新なイベントや地域住民向けのイベントなど、様々なイベントの企画・運営も一緒に構築できたらと思っています」
この仕事で大変なことはありますか。
「地域おこし協力隊の方が希望するキャリア条件が、非常に難しい場合もあります。人口がすごく少なくて、明らかに働く場所が限られている、そんな場所は特に。私は無理して地域に残らなくていいとも思っています。」
重信さんから以外な言葉が出てくる。
「地域に残っても明らかに自分が希望するキャリアが望めない、地域に残っても幸せになれる可能性が低い、そういう協力隊もいます。そういう場合は、着任地域に住みながら通える範囲での仕事を探します。それでも条件が難しい場合は、いっそ別の地方の仕事を紹介することもあります。ローカルから違うローカル、そんな選択肢もありだと思いますね」
着任している自治体からしたら、協力隊を他の地域に連れていかれるサービスだと、警戒されるのでは。
「はい。(笑)だけど、仕方ない、それに尽きます。地域おこし協力隊の制度に関しては私自身も結構勉強しています。逆に言えば、自治体が要項作成の段階で任期終了後のキャリアを設計していない、ということの裏返しでもあるのかなと思っています」
ことろどのデータによれば、着任している地域に残る協力隊の生業としては「起業」が多くを占めている。就職される方は、企業受入型にてそのままその企業や団体に就職するケースも多いそう。
「せっかく都市部から地方に来てもらったのに、3年後は知らないよ、じゃかわいそうじゃないですか。地域おこし協力隊は、都市部の知見を持っている貴重な人材であり、地方にとっては必要な人材だと強く思ってます」
「協力隊の定住率が低い自治体さんは、ぜひ当社にご相談して欲しいですね。(笑)要項作成の段階からより定住に繋げやすい要項作成をご提案したいです」
日之影町の中央地区は、かつては高千穂鉄道が通っていた。その姿をそのまま残している「日之影温泉駅」は今でも根強い観光スポットになっている。隣には実際に鉄道を走っていた列車を宿泊用に改装した「TR列車の宿」も併設しており、家族連れやYouTuberなどに人気だそう。
「日之影町の中央地区は、もっといろんな方に来てもらうべき場所だと思っているし、より面白くなる可能性がある。まだまだお伝えできていない魅力も多いので、まずは現地に来てみて欲しいですね。中央地区を魅力的と思ってくれる人、地域おこし協力隊のキャリア支援の意義に共感して頂ける人、地域と丁寧にコミュニケーションを築ける人、そういう人と一緒にチャレンジしていきたいです」
かつての中央地区から、コミュニティセンターをはじめとした新しい中央地区が始まろうとしています。
五ヶ瀬川や日之影川が流れる静かな時間のなかで、いまを生きる私たちができること。
まずは、日之影町を訪れてまちの雰囲気を感じてみませんか?
■ご応募はこちらから■
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募集要領
1 募集人数
1名
2 募集条件
(1)年齢は問いません。
(2)性別は問いません。
(3)居住地要件があります。
3大都市圏及び地方都市(条件不利地域※ 以外)にお住まいの方(詳細はお問い合わせください。)
※ 条件不利地域とは①~⑦で指定する地域
①過疎地域自立促進特別措置法 ②山村振興法 ③離島振興法 ④半島振興法 ⑤奄美群島振興開発特別措置法 ⑥小笠原諸島振興開発特別措置
⑦沖縄振興特別措置法
(4)地域おこし協力隊着任後、住民票を異動できる方
(5)普通自動車運転免許を所持していること。
(6)日之影町内に居住し、町民と協力した活動や多様な主体と協働で地域活性化活動に熱心に取り組むことの出来る方
(7)暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第77号)第2条第2項に規定する暴力団その他反社会的団体又はそれらの構成員に該当しない方
(8)地方公務員法(昭和25年法律第261号)第16条に規定する、各号に該当せず、心身共に健康で誠実に業務を行うことができる方
3 任期
着任日から1年間
なお、更新は1年単位とし、最長で3年間とします。
※ただし、1か月間を条件付採用期間とします。また、地域おこし協力隊員としてふさわしくないと判断したときは、任用期間中であってもその職を解くことができるものとします。
4 身分・報酬
日之影町の一般職の非常勤職員(会計年度任用職員)となり、次の条件のとおりです。
(1)報酬(月額) 210,000円(ただし、月途中に着任した日から日割り計算します。)
(2)手当等 町の規定により、期末手当・勤勉手当、通勤手当相当分の費用弁償を支給します。
(3)保険等 共済保険に加入します。
5 住宅・活動用物品
(1)住宅
任期中の住居は町内にある住宅を借り上げ、隊員に無償で貸与します。生活備品等については各隊員でご用意ください。
(2)活動用物品
活動で使用する備品等は、無償で貸与します。
6 勤務日・勤務時間・休暇
(1)勤務日
それぞれの就労規則により勤務することになりますが、原則として月あたり20日程度
(2) 勤務時間
原則として1日あたり7時間又は週あたり35時間以内とします。
(3) 休暇
有給休暇については、労働基準法に準じます。
その他町の規則に基づき、夏季休暇、忌引休暇、結婚休暇等の特別休暇があります。
7 募集期間
令和7年6月13日~令和8年3月31日まで
(定員に達し次第募集を締め切らせていただきます。)
8 選考について
(1)1次選考:提出いただいた書類を基に書面審査を行います。
①提出書類
・応募用紙(別紙)
・市販の履歴書
・作文(A4用紙 400字以内):「地域おこし協力隊として自分ができること」
②提出方法
郵送にて、下記提出先へ提出してください。
(2)2次選考
日之影町にて「面接」を行います。
日時等は、1次選考結果を通知する際にお知らせします。
(3)結果通知
2次選考後、おおむね10日以内に結果をお知らせします。
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