ヨキ(斧)の柄を新調しました(日之影町産白樫の木で手作り)
お正月の怠惰な生活で体重が5kgほど増えてしまい、違った意味で気合が入っている山師の星村です
世界中の皆さん明けましておめでとうございます
今年もどうぞよろしくお願いします。
世の中心配事はつきませんが、少しでも前向きに生きましょう。エイ、エイ、エイ
さて、伐採道具のヨキ(斧)の柄が折れてしまいました。
林業では、斧のことをヨキという呼び方をします。このヨキという呼び名はすでに西暦1000年ごろの文献には登場しており、和歌でも使われていたそうです
写真をご覧ください。ヨキ本体の側面の一方には三本の筋、もう一方には四本の筋が入っています。この筋は何を意味するのか不思議に思いませんか? インターネットで調べてみました
フリー百科事典のウィキィぺディアや土佐打刃物で有名な西山商会の西山賢氏の興味深いお話を見つけたので簡単にまとめてみました。
『斧(おの)のことを時に「よき」と呼び「与岐」と書く。
日本の伝統的な伐採斧の刃には三本と四本の線が刻まれている。これを振り下ろした状態で左の面(裏)に三本、右の面(表)に四本の筋があり合わせて「七つ目」(「流し目」「脂抜き」とも)と呼ばれている。これの意味するところは、地方、地域により多くの説がある。 三本の筋は、「山の神」、「火の神」、「鉄の神」に敬意を払う意味であったり、大きな事故から身を守るための信仰として「身(三)を避(四)ける」という意味で刻まれているという説。 他にも三本の筋は、イザナギ、イザナミ、天照大神、四本の筋は、四大神(八幡大神、春日大神、豊受大神、猿田彦大神)を祀っているという説もある。 また、三本の筋は神にお捧げするお酒の「神酒(ミキ)」四本の筋が、ヨキで五穀を意味する。ヨキは「四気」であり木を育ててくれた太陽・土・水・空気(火・地・水・風)を意味しあちらこちらの山海の幸を表しており、実際に作業に入る前、伐採する木にヨキを立てかけて感謝や許可、作業の安全を祈り実際のお供物の代わりに使用されることがある。 ある地域では、三本は酒・米・塩で山の神への供養物を表しているという説もある。 共通することは山の神や日本の神々への信仰心が根底にあると考えられる。 すでに倒した木を加工するはつり斧や大工鉞(まさかり)には七つ目は刻まれることはほぼ無い。すなわち、七つ目の刻まれたヨキにのみ神々を奉る信仰心がみて取れるのである。 別の話。師匠に認められるまでは、最初は表の四つしか筋を入れられない。三代続いた鍛冶屋のみ三本の筋が入れられるという暗黙の了解があり、四本の筋しかないものは半人前が作ったもので、七つの筋があるものは三代続いた伝統のある名工が作った斧であるということになる。 それとか、見習い職人が七つ目を入れて師匠に見せ、商品としてダメだったら裏の三本線を消すように斜めに一本線を入れられたり、均等に入れられている三本線のうち一本を長くされたりしたという話もある。
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閑話休題
そもそもヨキをどう使うかというと、木にからむツルを切ったりチェンソーが挟まったときに枝を切ったりする「切れ物」としても使いますが、それだけではありません。
伐倒する際の矢(くさび)を打つハンマーの代わりに使います。刃の裏側の面で叩くのです。ですから、この面は、叩いてもつぶれない硬い材質の鋼を使っているのです。シャア専用ザクならぬ、山師専用斧(ヨキ)なのです。
この面が当たればいいのですが、たまには空振りしたり、柄のところが当たったりします。そうすると私のヨキのように折れてしまいます。
今回の柄の材料は、日之影町産の白樫という木です。私が派遣されている会社の功さんに四分割にしていただいていました。功さん曰く、「樫の木は硬いので、伐採したての柔らかいうちに、ある程度削っておくと加工がしやすいよ」だそうです。
今回の柄の長さは50cmほどです。大きい方のヨキは60cmほどありますが、柄は長い方が、叩くのにパワーが伝わりやすく良いのですが、携帯しにくいのが隘路になります。適した長さは、肘から指先までの長さが良いと先輩に教わりました。
更に愛着が沸くように、自分仕様として以下の加工・装飾を施してみました。
①滑り止め及び打ち損じに備えてパラコードを巻く
②ロゴを入れる
③お守りをつける(既に取れました)
これだけすると愛着もひとしおです。
Let’s enjoy!