ICTを活用した教育を推進し豊かな学びの場を創出。
早田泰大さん年齢38歳
日之影中学校教諭

宮崎県内の中学校でわずか4校しかないという「ICT活用推進モデル校」。先進的なその取り組みを進めているひとつが日之影中学校です。そして、この日之影中学校のICT(Information and Communication Technology)活用教育の推進において中心的役割を担っているおひとりが早田泰大先生です。

延岡の学校から日之影中に赴任されて1年半が経った2021年11月。日之影中で展開されているICT活用教育について、またこどもたちの可能性について、早田先生のお話を伺いました。

活発な意見交換や表現など
学ぶ楽しみが大きくなった

「着任した2020年4月とはもうまるで違うというくらい、わずか1年ほどのあいだに日之影中のICT活用は進みました。すべての生徒にタブレットが配布され、それを授業で使うことはもちろん、生徒たちは毎日家に持ち帰って学習に役立てています。わたしたち教師側も『授業では必ずタブレットを使用する場面をつくろう』と取り決めをして実践していますから、教師の授業スタイルという意味でも、こどもたちの学習ツールという意味でも、大きなインパクトがありました。

例えば、授業の資料も、以前はプリントして配布していましたが、現在はタブレットで生徒に一斉送信します。印刷の手間もなく、授業前の準備も非常に効率化されました。生徒たちはその画面を見て、ペンで書いたり、タッチで拡大したり、わからなければ調べたり、直感的に資料を読み解くことができるので、興味関心を高めたり理解を深めたりできていると感じます。

タブレットに書き込まれた生徒たちの意見や考えは、ボタンを押せば教室のモニターに瞬時に映し出されます。これによって、授業での共通理解や意見交換が学級全体ですごく活発になりました。おかげで、生徒たちにとっては、学ぶことがより楽しいものになったようです」

筆記する力も大切に
さらなる切磋琢磨を図る

「ICT活用によって、じぶんの考えを発表するということがよりハードルの低いものになり、自己表現する機会が増えたことはすごくいい成果だと手応えを感じています。また、日頃からタブレットに触れてWordやPowerPointを操作しているわけですから、日之影中の生徒たちは、必然的にPCを扱う能力が他校の生徒よりも高い状態で卒業していくのはまちがいないでしょう。情報モラルやセキュリティについての考えや経験が身についていくのもいいことだと思います。

もちろん、難しい部分も残されています。いくらタブレットを使いこなせるようになったとしても、それだけではダメです。やがて挑むことになる高校入試や大学入試をパスするためには、やはり、紙の答案用紙にしっかりと筆記することや文章を書くことが求められます。そうした能力を高めることもやはり大切にしていかなければなりません。

また生徒たちにとって、ICT活用が、外の世界を知るきっかけになってほしいと願っています。じぶんの立ち位置を把握したり、上には上がいることを知ったり、『もっとがんばっていこう』と奮起するようなことに繋がることを期待しています。そして、じぶんなりの目標を立て、それを達成し、さらに能力を磨いていくことに役立ててほしいですね」

いい人たちに囲まれながら
高い能力を身につけていってほしい

「わたし自身もこの日之影に暮らしてみて、すごく人がいいまちだと日々感じています。そもそも『宮崎県は人がいいところ』と思っていましたが、とくに日之影の人のよさはすごいですね。大人の方々もとても優しく、温かく、学校に協力的な方たちばかりです。こどもたちも言うことをすごくしっかりと聞いてくれますし、進んで挨拶もしてくれますし、この地域のいい人間関係のなかで健やかに成長してきたのがわかります。

とはいえ、どうしても競争が少ない環境ですし、これまでいい人間に育ってきたのは、まわりの大人たちが手を差し伸べて大事に育ててきたところも多少はあるのではないか、と思います。そんな日之影のこどもたちにこれから求められるのは、みずから高い目標を掲げ、どんなに苦しくともじぶんの力でやり抜くということでしょう。ぜひ、そうなってほしいと思います。

いまでは『宮崎のICT活用教育は日之影中がいちばん』という声を聞くこともあります。そうした評価に甘んじることなく、これからますます新しい挑戦をしていくことが大事になってくることでしょう。そういった意味では、わたしもいい機会を与えられたな、と感じます。ここ日之影中でわたし自身がいま最も先進的なことをいろいろ学ばせてもらっているわけですからね」

日之影町立日之影中学校

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