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郷土食メモ「たけのこ寿司」甲斐智佐世さん
お祝い事やお祭り、お正月やお盆など季節の行事に食卓を彩る「たけのこ寿司」。家族や近所の方々と食べる、日之影のふるさとの味です。
今日の先生は、生まれも育ちもずっと日之影町の甲斐智佐世さん。大人集落にあるご自宅に伺うと、前日から仕込んでくださっていたという、美しいたけのこがスタンバイ!
「たけのこはたくさん種類があってね。孟宗竹、五三竹、淡竹、黒竹。中でも黒竹のたけのこは、節と節の間が長いので、巻いた時にきれいに仕上がるんです。不作な時期もあるから、干して保存したたけのこを使う時もあるけれど、たけのこ寿司は、生のたけのこで作るのが一番おいしいね、風味と食感がまったく違う」
農家としてお米や野菜を育てる智佐世さん。このたけのこもまた「うちの山から掘ってきたんよ〜」という、今日の材料はすべて自家製のものです(貴重!)。高齢化によって重労働のたけのこ掘りをする人が減っている中、智佐世さんは未だに時期になると山へ行き、こうしてご馳走をこしらえます。
「どの種類のたけのこを使うかによって味が違うから。たけのこの味と酢飯の味が調和しないと、たけのことごはんを別々に食べているようになってしまいます。家々によって味が違うけれど、うちは酢飯の味は薄めにして、わさび醤油をつけて食べています。上下顔(かみしもつら)という集落で作った時は、紫蘇の実の醤油漬けを白ご飯に混ぜたもので作ったりもしたよ。初めて作り方を教わったのは、学校給食の調理員をやっている時で、最初はこげんうまくできなかった(笑)。たけのこに酢飯が馴染まなくて、な〜んか格好悪くて。10年くらい作り続けてやっとうまくできるようになったかな。今は、家族みんなたけのこ寿司が好き。孫が来ると『ばぁちゃんたけのこ寿司が食べたい!』って言うから『そんなに簡単にできんとよー!』ってね(笑)。形も味も試行錯誤して、切り口もきれいに見えるように。さあ、今日はうまくできたかな?」
たけのこ寿司
〈材料〉
- 生のたけのこ
- いりこ出汁
- 醤油
- 塩
- みりん
- 酒
- お米
- 酢
- 紫蘇の葉
- わさび
- 醤油
〈レシピメモ〉
- たけのこの皮をむき、中の節を包丁で削り取って、縦半分に切って、3〜40分ほど湯がく。茹で上がったら、いりこ出汁、醤油、塩、みりん、酒で、煮る。薄く味が染みたら煮汁から上げて、冷ます。酢飯を作る。
- 巻きすにラップを敷き、寿司のサイズに合わせて長方形に切ったたけのこをのせ、紫蘇の葉を2枚のせる。
- 軽くにぎった酢飯をたけのこの上にのせて、ラップで巻き、巻きすで巻いて形をぎゅっと整える。(一晩おくと、たけのこと酢飯が馴染みます)お好みでわさび醤油をつけて召し上がれ。