郷土食メモ
「山菜おこわと太巻き」
こばるの里のみなさん
(左から)本田一子さん、真田和子さん、榎木文子さん、抜屋みとみさん

今から20年前、下小原集落に暮らす女性たちが「地域の食材を活かした活動がしたい!」と結成された、農産品加工グループ「こばるの里」。農作業や家事に忙しくする日々の中、農閑期になるとみんなで集まり、食材を持ち寄りながら、惣菜やお弁当を販売して活動してきました。
町のお祭りやイベントの出店や、町の人たちからお弁当やオードブルの注文を受けたりと、「こばるの里」は“町のごちそうづくり担当”として、欠かせない存在になっていきます。ふだん農家として、じかに野菜や米を育て、素材の味を知っている彼女たちだからこそ生み出せる、地元日之影の味。
長年家族のごはんをつくってきた調理の腕前と、「おいしいものを届けたい」というパワー、朗らかで明るい人柄で長年育ててきたチームワークでたくさんの人においしい笑顔を届けています。「楽しいとよ!楽しんでせんと続かないね」と、
調理の最中も、笑い声が絶えず賑やかで、すでにお祭りのような雰囲気!猪の骨の出汁のみでつくる猪うどんをはじめ、人気メニューは数あれど、今回は毎月行われる「青雲朝市」でも、並べた瞬間売切れ御免!という、「こばるの里」の売れっ子〈山菜おこわ〉と〈巻き寿司〉のレシピを紹介します。

山菜おこわ

釜で炊いた、粒立ちの良いもっちりの歯ごたえとさっぱりした甘みがおいしいもち米と、いりこ出汁で炊いた滋味深い山菜や野菜がまざった山菜おこわ。すべて自家製の材料でつくりあげる、山のごちそう。お祝い事、お祭り、お正月、何か行事がある時に食べてきた味です。「今日は具材がい~っぱい入っているから美味しいよ!」と振る舞ってくれました。

〈材料〉

  • もち米
  • 原木しいたけ
  • にんじん
  • たけのこ
  • ぜんまい(季節の山菜で)
  • お米、野菜はすべて日之影産。
  • 産地は「こばるの里」のみなさんの田畑より。

〈レシピメモ〉

  • 洗ったもち米を蒸す。
  • 具の材料はすべて細かく刻んでおく。いりことお水で出汁をつくり、お醤油・砂糖・みりん・秘密の調味料でにんじん以外の具材を煮る。煮立ってきたら最後ににんじんを入れて煮る。
  • もち米の蒸し具合を確認。箸でさしてすーっと通ったら、具材の煮汁を少し入れて仕上げに蒸す。ゆげが上がったらOK。
  • 蒸したもち米に、残りの煮汁をまんべんなく入れて、具材を混ぜ合わせて出来上がり!

太巻き

活動開始当初からつくっているという定番メニューであり、朝市では8時の販売前から行列ができる、町のみんなの大好物、太巻き。その期待に応えるために、毎回メンバー総出で徹夜でつくるという、気合いと愛情のこもった一品。具材に使う野菜はもちろん自家製、卵もメンバーの各家で飼っている鶏が産んだ新鮮な卵を使っています。以前、節分の時に恵方巻きとして注文をとった際は、町内で200本もの注文が入ったことも!(現在はおやすみ中)。「時間との勝負で、もう阿吽の呼吸よ(笑)」と話す通り、チームワークはバッチリ、明確な役割分担と、一人ひとりの手際が良く、撮影がついていけないほどの速さで巻き上げていきます。そのスピード感の中で、ていねいに味付けされた、ボリュームたっぷりの具材が酢飯にぎゅっと包まれ、つややかで風味豊かな海苔で巻かれた、素朴で美しい一本。

〈材料〉

  • お米
  • ごぼう
  • 原木しいたけ
  • にんじん
  • かんぴょう
  • おぼろ
  • 煮干し出汁
  • 米酢
  • 醤油
  • 砂糖
  • みりん
  • 白だし

〈レシピメモ〉

  • 炊き上がったお米に酢と塩を加えて、酢飯をつくる。(自分で味をみながら)
  • ごぼう、しいたけ、人参、かんぴょうを刻んでおく。
  • 煮干しの出し汁に、醤油、砂糖、みりん、白だし少々、隠し味で酢を入れて、具材を一気に煮る。30分くらい煮て、一度冷ましたあとに、また煮立て、味を落ち着かせる。
  • ほうれん草は、湯がいたあと、白だしで薄味をつける。
  • 卵焼きをつくり、細長く切る。
  • 具材の下ごしらえが終わったら、巻きすを広げて海苔を中央に敷く。海苔の上部分2㎝ほど残して、酢飯を広げる。中央部分におぼろ、ごぼう、かんぴょう、にんじん、しいたけ、玉子、ほうれん草を並べてのせる。手前の巻きすを海苔・酢飯と一緒に持ち上げて、具材をおさえながら、一気に巻く。
  • 海苔・酢飯・具材が定着したら、まな板の上において一気に切って、お皿に移して出来上がり。

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