名産探索
「ひのかげの豆腐」
戸髙健一さん(山寿ふれあいくらぶ代表)

「みんなと たのしい おいしい を分かち合う
山寿ふれあいくらぶ」

その自然に触れ、素材の味に舌鼓し、ヒトとヒトとが笑い合う。一度訪れるとまた来たくなる、そんな素敵な場所が日之影の山奥にあります。
日之影町の中心部から車で30分の距離にある、五ヶ瀬川の支流、追川の原流域にある追川上集落。地元の方から「やまじゅう」という愛称で呼ばれているこちらは、百舌鳥山(もずやま)、尾大平(おだいら)、畑野(はたの)の3集落で構成されており、現在は10名がここで生活しています。
そんなやまじゅうで活動する「山寿(やまじゅう)ふれあいくらぶ」は、12年ほど前に3集落の有志によって構成された地域活性化グループ。活動拠点の尾大平集落にある施設は、もともと民家があった跡地に「山寿ふれあいくらぶ」の皆さんが建てた場所。日之影の木を使用するなど温かみのある平屋の一軒家です。春には山菜まつり(2024年は豆腐つくり体験を開催!)、夏には町内の小学生を対象にした山学校、秋には紅葉まつり(現在はおやすみ中)を開催し、北海道から参加する方もいるほど、町内外を問わず沢山の方が参加する人気のイベントです。参加者の多くはリピーターで口コミから広がっているというからその魅力は参加者のお墨付きです。

今日は特別に「山寿(やまじゅう)ふれあいくらぶ」代表の戸髙健一さんに「豆腐つくり体験を開催!」にむけて、一足先に豆腐作りについて体験してきました。

「原料となる大豆は前日から水に浸します。おからの舌触りを良くするために事前に大豆を砕き、皮を取り除いておきます。砕いて、ドライヤー当てれば大豆の皮は風で飛んでいくよ」と、食べる人のことを考えたひと手間を加えてくださっていた健一さん。「大豆をペースト状になるまでミキサーにかけ、その間に釜にお湯を沸かしておきます」と見せてくれた釜があまりに大きく、「大人でも入れそうですね」と言うと、「入っていいよ。五右衛門風呂みたいに」とおちゃめな笑顔で答えてくれました。
この釜は、豆腐作りに始まり、こんにゃく作り、煮しめなども炊くそうでやまじゅうに訪れる人のお腹を満たしてくれる、なくてはならない必須アイテムだそう。

「ペースト状になった大豆を、お湯が湧いた釜に入れていきます。ここが豆腐つくり一番のポイントで、大豆が釜に焦げ付かないようにすること。焦げ付いてしまうと、焦げの香りが豆腐にうつってしまい、美味しい豆腐にできあがらないので注意して。そして3回沸騰させる。薪だから火加減が難しいけど、湯気が少しあがって、ふつふつとしてきたら沸騰前の合図。釜から吹きこぼれないように水を準備し、沸騰したら水を加え、落ち着かせる。吹きこぼれたら、大豆がかまどにこびりついて掃除が大変(笑)」
豆腐作りはどんな時にするか伺うと「普段から豆腐は作るよ。しょっちゅうじゃないけど、イベント事や来客がある時など。やっぱり豆腐は手作りした方が美味しいからね。昔は豆腐や味噌など各家庭で作ってた。今でも、豆腐つくりをしたいという人がいれば一緒にするよ」

次に、沸騰させた大豆をこし布にいれて絞ります。口元を縛って竹で上からぎゅーと押しつぶすと、さらしの布袋から乳白色に輝く熱々の豆乳が溢れ、布巾の中にはほくほくのおからが残ります。できたて豆乳ににがりを入れ、固まってきたら豆腐の型に流し入れます。型は実際にお豆腐屋さんで使用されていたもので、流し入れたら上から重しを乗せ固まるのを待ちます。

固まった豆腐を型から外し、布巾をめくると20丁分の豆腐ができあがり。
さっそく、できたての豆腐をいただきます。箸をいれるとしっかりとした弾力、なのに中はふわっと、口にいれると大豆の香りがほんのり。濃厚なのに、後味はあっさりしていて箸がとまりません!
豆腐のおともには、施設周辺で採れた山菜を天ぷらにしてうどんにのせて。やまじゅうの贅沢なごちそうです。

「山寿ふれあいくらぶが開催するイベントを通して、山の中だけど、やまじゅうだから見れるここだけの景色、里山のごちそうを食べれる場所、故郷にかえってきたような安心感を感じれる場所。そんなところが、ここ日之影にありますよ、と知ってもらえたらいい。
メンバーも高齢になってきて不安もありますが、続けていける間はみんなで頑張りたい。自分たちだけではなく、14・15年の付き合いになる九州つなぎ隊(「いま動ける人」同士が、場所や分野の枠にとらわれず縦横無尽に「つながって」情報を共有し、多種多様な問題にフィットするために具体的に活動する団体)の助けもあり、イベントを開催できています。リピーターの人も、集落を出た人もイベントの時には戻って参加してくれる。何より、やまじゅうに来る人みんなが楽しみにしてくれているんですよね。
集落に人々の笑い声が響くことで、自分たちも力をもらって、また頑張ろうと思えます。なのでやまじゅうに来てくれる人のため、故郷を守り続けていくために、みんなで頑張っていきたいです」

そんな、山寿ふれあいくらぶ主催の豆腐つくり体験が開催されます!
例年、春には山菜まつりを行っていましたが今年は新たなことを!ということで、豆腐つくりを参加者の皆さんと行います。自分で作った、できたて豆腐を食べれるほか、山菜の天ぷらもお出しする予定とのこと。
詳細は下記をご覧ください。

写真・文:甲斐 未有希(日之影町地域おこし協力隊)
写真:赤星辰弥(日之影町役場 地域振興課)

INFORMATION

『昔ながらの豆腐つくり体験』
・日時 : 2024年4月21日 8:30~14:00
・場所 : やまじゅう
・集合 : 日之影町役場 8:30
・参加料 : 2,500円(体験料、保険料、昼食代込み)
・定員 : 20名
・持ち物:エプロン、マスク、タオル、三角巾、飲み物

■申込方法:下記の連絡先までご連絡ください。
締切 : 4月18日(木)
日之影町役場 地域振興課 TEL:0982-87-3801

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